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「HP Software Discover Performance」日本語版

アプリ開発のトレンド・今月のトピックス
「アジャイル」開発について

日本ヒューレット・パッカード株式会社
HPソフトウェア事業統括  シニアコンサルタント 藤井 智弘

…少々刺激的なタイトルで始まったが…多くの企業が生き残りをかけた製品やサービスの開発に血道を上げている。業務システムの開発という、“それなりの規模を伴う開発(仮にエンタープライズ・システムとしよう)”の世界でも“アジャイル開発”や“DevOps”というキーワードに関心を向けている人が出てきている。 私の所属するALM事業部はその前身がテスト・ツールではトップブランドである旧マーキュリーの血筋のためか、良くも悪くも “アジャイル“という文脈で名前が出ることは、これまであまりなかったのが正直なところだ。

もちろん我々もお客様のアジャイル化をただ見ているだけではなく、様々なサポートをご用意している。本稿では、そのポイントをご紹介したい。

ギャップ

そもそもアジャイルとは?を詳細に議論するページの余裕は無いが、プロジェクトの振る舞いを見ると、リストのようなものを一般にアジャイルとみなしているようだ。

アジャイルの定義(一般の理解)
  • 短期間(2週~数週間)での製品リリース
  • コード開発を重視&必要最低限のドキュメント
  • プロダクトオーナーと呼ばれる製品仕様決定の強い権限者の存在
  • 権限を移譲され、職能横断的な技術者で構成された少人数の開発チーム

未だに「少人数による小規模開発向き」というイメージがついてまわるものの、一時の熱狂とその反動である否定的な論調を越えたようにも見える。国内でもあちらこちらで試行を始めているという話を耳にするようになった。

しかし、いざエンタープライズ・システムの開発にアジャイルを適用しようとすると、次のような壁に突き当たる。

エンタープライズにおけるアジャイル適用時の「壁」
  • 権限の強いプロダクトオーナーは存在しない。各部門の利害関係者が集う合議の意思決定になる
  • 海外のスタートアップ論に見られるような、新規の(まっさらの)開発案件がそもそも存在しない。既存システムへの機能追加、いわゆる“保守開発”がIT予算のかなりを占める。新規の案件であっても、ゼロからの開発はほとんどない。ERP等のパッケージをカスタマイズするケースがほとんどである。
  • オフショアは一般化しているが、工程の一部(たとえば、実装やテスト)を担当するケースが多く、アジャイル論者が分散開発でのあり方としてアピールしている“機能単位をまるごと開発委託するケース”は、まだ稀である。
  • 既存システムとの連携が不可避である。社内にはこれまでのビジネスの結果として貴重な情報が蓄積されており、それを有効活用して新たな価値・ビジネスチャンスを見出そうとするのは、ビッグデータの例を引くまでもなく、最大の関心事の一つ。これを活用するサービスの短期リリースでは、アジャイルと言えども既存システムとの連携が大前提となる。

いかがだろうか?

多くの方が持っているアジャイル開発のイメージと、かなり様相が異なることがお分かりいただけるだろうか?

エンタープライズ・アジャイルとHP ALMの問題意識

前述した課題を一読いただいてお分かりいただけるように、これらは必ずしもアジャイルにのみ特化した話とも言えない。ここ2,3年、HPはテスト管理・品質管理から、顧客要件の管理からテスト管理までそのカバーする範囲を広げたALM=アプリケーション・ライフサイクル管理を標榜しているが、最近特にアジャイルとその周辺技術に向けて様々な次に挙げるような施策(ツールやソリューション)を提供している。

HPのアジャイルの今
  • ライフサイクル管理製品に、アジャイル開発(特にプロジェクト運営技法で有名なスクラム)向けのプロジェクトテンプレートの提供
  • SaaSサービスとしてAgile Managerを海外で提供開始
  • クラウド+運用自動化ツールと連携した“DevOps”ソリューションの提供
  • 各種のオープンソース(Subversion,Git,Jenkins etc….)と連携して、HP ALM+OSSでアジャイルのライフサイクル全般をサポートする環境の提供

これら施策の根底に流れるポイントは、「自動化のさらなる徹底」と「自由度をスポイルしないガバナンス」の2点だ。

今アジャイルに関心のある層は、技術的な興味に基づいた「アジャイルすること」そのものよりも、むしろ“短期&低コストでサービスイン”が主たる関心事であり、その手段の一つとしてアジャイル開発に注目している方が多いのではないだろうか?であれば、単に開発期間が短縮するだけは足りない。サービスインし、成果を出すまでの時間を短縮することが重要であり、この認識があるがゆえに、開発(Development)ではなく、デリバリー(Delivery)という言葉が使われるようになっている。HP ALM製品群、特にテスト自動化系のツールはこれまでコスト削減効果で注目を集めることが多かったが、これからより時間の短縮効果のほうが、その重要性を増していくだろう。

もう一点は「自由度をスポイルしないガバナンス」だ。ALMを標榜するツールベンダーの多くがAll-in-Oneツールで囲い込もうとしているが、現場ですでにオープンソースが広く使われており、ALM導入の障害や長期化の原因になっている。しかしこれらの道具立てを現場が必要に応じて選択できてこそ、開発者の自由度とそれに裏打ちされた“良い製品”ができてくるのではないか?
HP ALMは、これら広く使われているオープンソースプロダクトと自在に組み合わせて、短期間に低コストでALM環境を構築できるように考慮されている。

まだ始まったばかり

…とざっくり概要だけで切って捨てるようで恐縮だが、HP ALMによるアジャイルのサポートはまだ始まったばかりだ。しかし、だからこそ、コンセプトで先行してそれに溺れるようなことなく、開発現場の“今”に目を向けてソリューションを提供できるとも言える。本稿を起点に、セミナーや記事等様々な媒体で情報を発信していく。ご期待いただきたい。